Active Learning Lesson

 

 

 AoG Scientific Seminar

 

  

  Graded Learning Method

 

 

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サイエンティフィック ゼミ

 

 私たちは、学びを始めるとき、わくわくどきどき、楽しみと同時に、ちょっと不安になったりします。

そして、目指す目標が高かったりすると、必ずある種の壁にぶつかります。これは、学習障壁と呼ばれるものです。

学習障壁は、乗り越えるものでも、避けるものでもなく、みずからオペレートするものです。

 

  まず、学習障壁という、学ぶときに現れる壁は、誰にでも、どんな時にでも存在するということを理解しなければなりません。

 

 学習障壁とは

 

  ふつう、学校教育では、通常、年齢ごとに生徒をひとまとめにし、中学くらいになると年齢と成績でまとめて全員同じペースで教えます。まず先生が授業で説明し、家で宿題をやり、翌朝、宿題の答え合わせをし、それから授業、宿題、授業、宿題と 繰り返して、 2、3週間後にテストがあります。テストでは、知識の穴が明らかになります。

 

 しかし、知識に穴があると分かっても、授業はそのまま次の項目へと進みます。より高度な内容でそれが穴の上に積み上げられます。これがどんなに変なことかお分かりになるでしょう。基礎的なことが多少分からなかったとしても、もっと高度な内容に進ませられるんです。それが何ヶ月、何年と続いていき 、どこかの時点で壁にぶつかります。それは、授業の内容が本質的に難しいからでも、生徒の頭が悪いからでもなく、 ある部分を理解していないことが、次の授業のなかに出てくるためで、そうやって取り残されていくんです。

 

 いまの学校教育では、教師が悪かったんだとか、もっと頻繁に詳しく検査をしなきゃいけないという話になります。しかし、本当に問題があるのは、プロセスそのものなんです。それは、やるのにかける時間を人為的に制限することで、結果に出来・不出来を出しています。そして、わざわざ検査の手間をかけて欠陥を見つけたのに、そのまま積み上げ続けているんです。これが、学ぶ者にとってのひとつの学習障壁になるのです。

 では、どうすればいいのか? 答えは簡単でしょ!

 

  積み上げたものの下にある知識の穴を丁寧に埋めることです。ただし、ここで重要なのは自分ではじめるということなんです。助言を求めることは構いませんが、自ら主体となって進めることです。

 

 

 

 

アクティブ ラーニング レッスン

 

受け身から自発へ

 

 

 

まずは、受け身から、

 

ひとわたりの中身が

 

やがて

 

自発的なものへと特化していく

 

段階を追って学びあげることで、

 

それは、

 

「個有」のちからになる

 

ステップ by ステップ

 

 

 

~レッスン フィールド~

 

 

プライベートレッスン

 

グループレッスン

 

カフェレッスン 

Active Learning Lesson

 

passive to active

 

general to specific 

 

Graded Learning Method

 

Active Learning Lesson of Graded Learning Method (ALL of GLM=AoG )

 

 子供達の多くが数学で躓くようになるのは、学習過程で知識の穴が蓄積されているためなんです。算数を学び始めたとき、それ以前の知識に怪しいところがあってそのせいで自分には算数の才能がないんだと思い込みます。

 

 先に進むにつれ難しくなっていき、数学を学ぶ頃にはついていけなくなるくらい知識の穴が大きくなっています。それで自分は数学に向いていないと思うのです。しかし少し年を経て主体的に勉強してみようという気になって、この方法で知識の穴を埋めて概念を習得すると、別に才能の問題ではなく、数学だってやればできるというマインドセットが強化されます。

 

世の中で様々なことを身に付ける方法: AoG

 

 これは従来的な私たちの多くが受けてきた学校教育のやり方ではありません。従来的な学校教育では、通常、年齢ごとに生徒をひとまとめにし、中学くらいになると年齢と成績でまとめて全員同じペースで教えます。典型的には たとえば中学の数学で指数を習うという場合、まず先生が授業で指数を説明し、家で宿題をやり、翌朝、宿題の答え合わせをし、それから授業、宿題、授業、宿題と 繰り返して、 2、3週間後にテストがあります。テストでは、私が75%で、彼は90%、 彼女は95% という具合に、知識の穴が明らかになります 私は25% 理解しておらず、Aを取った生徒でも5%理解していないところがあります。

 

 しかし、知識に穴があると分かっても、授業はそのまま次の項目へと進みます。より高度な内容で それが穴の上に積み上げられます。対数だったり、負の指数だったり、それが続いていきます。これがどんなに変なことかお分かりになるでしょう。基礎的なことの25%が分からなかったのにもっと高度な内容に進ませられるんです。それが何ヶ月、何年と続いていき 、代数か三角関数かどこかの時点で壁にぶつかります。それは、代数が本質的に難しいからでも、生徒の頭が悪いからでもなく、 30%理解していないところのある指数が、方程式の中に出てくるためで、そうやって取り残されていくんです。

 

 いまの学校教育では、教師が悪かったんだとか、もっと頻繁に詳しく検査をしなきゃいけないという話になります。しかし、本当に問題があるのは、プロセスそのものなんです。それは、やるのにかける時間を人為的に制限することで、結果に出来・不出来を出しています。そして、わざわざ検査の手間をかけて欠陥を見つけたのに、そのまま積み上げ続けているのです。

 

 AoG では、これと正反対のやり方をします。従来式のように、学ぶ時期や期間を人為的に固定して、当然の結果として優・良・可・不可と バラツキを出すのとは逆に、学ぶ時期や期間は、生徒ごとに変えて実際に習得するという部分を固定するのです。

 

 ここで重要なのは、指数などの概念を生徒が良く学べるというだけでなく、適切なマインドセットを育めるということです。何かで20%間違えたからといって、別にDNAに “C” と 刻印されているわけではなく ただ取り組み続ければいいんだ、やり抜く力、粘りが必要だ、学習に主体的でなければならないんだと分かります。

 

 懐疑的な人は言うかもしれません。「そりゃ考えとしての AoG や、それによるマインドセット、生徒の主体性は素晴らしいものだし、 言っていることは分かるが現実的じゃない 。実践しようものなら、生徒の進度がバラバラになって、生徒ごとにカスタマイズした課程が必要になり、個人教師や個別の練習問題が必要になる。」 

 

 でも、これは理想だけの理論ではありません。AoG を行うとき、沢山の素晴らしいことが起こります。生徒が概念をすっかり習得できるだけでなく、成長のマインドセット、やり抜く力、粘り強さを身に付け学習に対して主体的になります。また教室で様々な素晴らしいことが起き始めます。授業を聞くだけでなく 教室の中に交流が生まれます。内容をより深く習得できるようになります。予想・実験シミュレーションや ディベート的対話ができます。

 

 しかし、単に習得に基づかない教育を延々と続け、みんな同じペースで進ませられているのだとしたら? Aを取って95%できたとしても、落とした5%は何だったのか?穴は蓄積されていき高度な内容に進んだとき、突然壁にぶつかって 「ガン研究なんて自分には無理だ」とか、「物理学は向いてない」とか、「数学は向いてない」と思うんです。それが実際に起きていることではないか、と思いますが、もし、AoG の枠組みでやっていくことができ、学習に対して真に主体的になることができ、間違いを歓迎し、できなかったことを学びの機会ととらえるなら、微積分をマスターしたり、有機化学を理解したりできる人の割合は100%に近いものになるでしょう。

 

 これからの社会として、問うべき課題があります。テクノロジーが生産性を劇的に変えるとき、そこに参加できるのは誰か? ピラミッドの頂点にいる人たちだけでは?そうなったら、他の人たちはいったいどうしたらいいのか?あるいは、何かもっと野心的なことをしては?ピラミッドをひっくり返して創造的階級を大多数にし、ほとんどの人が起業や芸術や研究に携われるようにするとか?

 

 これは別に夢物語だとは思いません。AoG の考え方と、学習に対して主体的になることによって、人々の潜在能力が発揮されるようになれば、そこへ到ることができると思います。地球上に住む一員として、そのことを考えるとワクワクします。そうやって可能になる世界の公平さや文明が進歩する速さを考えてみてください。私はそのことについて楽観的です。生きているのが素晴らしいと、ほとんどの人が実感できるようになるにちがいありません。

Active Learning Lesson of Graded Learning Method
ALL of GLM=AoG in english.pdf
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※アクティブ ラーニングの日本における定義

 

【アクティブ・ラーニング】(文部科学省資料 用語集p3、4、9より)

 教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査、学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

 

 概要については、

 

 Association for the Study of Higher Education (ASHE) report (Bonwell & Eison 1991) 

 

 を参照のこと。

There's a good framework for thinking. It is Physics.

 

The sort of first principles reasoning. Generally I think there are — what I mean by that is, boil things down to their fundamental truths and reason up from there, as opposed to reasoning by analogy. Through most of our life, we get through life by reasoning by analogy, which essentially means copying what other people do with slight variations. And you have to do that. Otherwise, mentally, you wouldn't be able to get through the day. But when you want to do something new, you have to apply the physics approach. Physics is really figuring out how to discover new things that are counterintuitive, like quantum mechanics. It's really counterintuitive. So I think that's an important thing to do, and then also to really pay attention to negative feedback, and solicit it, particularly from friends. This may sound like simple advice, but hardly anyone does that, and it's incredibly helpful.

 

Elon Musk

 考えるための素晴らしいフレームワークがあります物理学です

 

 原理と推論つまり物事を本質的な真理まで煮詰め、そこから推論するということですアナロジーで推論するというのでなく我々は生きていく上でアナロジーによる推論をしていますこれは本質的には人のしていることを真似て少しだけ変えるということですそれは必要なことですそうしなければ 日常生活も精神的に困難になりますしかし何か新しいことをしようという時は物理学のアプローチを使う必要があります物理というのは量子力学のような直感に反する新しいものを見つける方法なんですだからそのようにするのが重要だと思っていますそしてまたネガティブなフィードバックに注意を払うことも重要です特に友人に意見を求めることが大切ですシンプルなアドバイスに聞こえるかもしれませんがほとんど誰もやっていないことですごく力になるんです

 

イーロン・マスク

 

 

サイエンティフィック ゼミ

 

 

いま、科学を学ぶということ

 

いま、ふつうに暮らす人びとが 科学を学ぶ とはどういうことなのでしょうか。

 

ひとつは予想をたてることの有効なこと

もう一つはその予想をきっちり検証すると未来が見えてくること

 

さらに

 

必要とあらば予想を変更してもいいんだということを学び得ること

状況にだまされない そして 自分自身にだまされないこと

 

こういったことが理解できるようになる。

 

そして

 

おだやかでたのしい暮らしをつむぐために、私たちは科学を学ぶことが必要だと思っています。

 

Why learning Science is necessary

 

Now,What does it mean for people to learn science?

 

One thing is effective thing of predicting.

 

Another thing is to verify that prediction exactly and to see the future.

 

and 

 

To be able to learn that it is okay to change expectations if necessary.

 

Not be fooled by the situation and can not be fooled by their own

 

and so then

 

You will be able to understand these things.

 

and

 

I think that it is necessary for us to learn science in order to live in sustainable. 

 

 

その前に、

 

知識、を読み解くために、

 

本の虫

 

 

まずは、楽しんでみませんか。

サイエンティフィック ゼミ
数学検定・理科検定・漢字検定・英語検定・日本語検定・歴史検定に挑んでみませんか。
すべての学問の入り口はことばのレッスン本の虫で。
AoG Scientific Seminar 講座案内.pdf
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 サイエンティフィック ゼミは、段階的学習方式  それぞれのゼミ、それぞれのコースで、学習成果を確かめながら進みます。「学齢」には必ずしもこだわらないで、全国レ ベルの検定をクリアしながら、次のステップへ進むというものです。慌てず、急がず。でも、速やかに。ステップ by ステップです。 始めるのは、どの時点でもOKです。もちろん、検定だって、同じクラスを何度でも受検できて、しかも結果を自分で判断して、次 へ進むかどうかも、自分の判断次第です。  ここでは、プログラムの提案以外、すべては自発的に判断しなければなりません。「受け身の授業」から自発的なレッスンへ、段階 的に、創造的な判断ができるよう、プログラムをつくっていきます。

La leçon d'apprentissage active

 

科学教室・理数教室 のすすめ

 

 不思議な現象のもとをイメージする。科学教室では、このイメージを定着させるコツをさぐります。 

 そうして、その上に厳密な論理を組み立てる。論理は厳密でなくちゃならない。そうじゃなかったら、そもそもがいいかげんだから、本当にいいかげんになっちゃうわけです。

 科学の論理や数式は厳密だから、「科学とは厳密一点張りだ」と思っている人が多いのだけれど、本当は、現実を上手に近似する〈いいかげんなもの〉なんですよ。このことを学校では(厳密なものとして説明しないと真面目に取り組んで貰えないと思い込んでいるので)あまり教えないし、プロの科学者も忘れやすいのですよ。だから「理論が正しくて現実が間違っている」なんて発想をする科学者が出てくるのですね。

 

 そこが問題。厳密な論理も知る必要がある。だがしかし、どんぶり勘定で世界をみたてる上手なイメージの湧かせ方を稽古することこそ必要なのです。 とくに数学・物理は、〈論理のお稽古に適した学問〉なんですね、そこで、理数教室ではこのお稽古を繰り返そうと思っています。 

 

アクティブ ラーニング レッスン の すすめ
受け身の学習から、自発的に学ぶスタイルに変わるためのモデルです。
General to Specific アクティブラーニングレッスン.pdf
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科学教室

 

科学的基礎的 概念

 

 予想を立てる

討論をする  

  実験で確かめる  

 

理数教室

 

幾何学 ・代数学 

物理学 ・化学 ・

 

科学哲学

 

    解き方を聴く       

    法則性を見つける 

結果を評価する

 


検 定 講 座

 

 

 

Proficiency seminar

 

 

Le séminaire de la capacité

 

  

もともとの「わたし」というのは、
「あなた」でもなければ、「あのひと」でもない。
くっついて「ひとつ」になってるように見えても、
それは、「まぼろしのひとつ」にちがいない。

 

たぶん、「わたし」は、

「ひとり」として賢くなったり、「ひとり」として素敵になったり、
「ひとり」として輝けるようになれるはず。
そうすると、光が、「ひとり」ずつに届きます。
「ひとりひとり」の心地よさを「ひとりずつ」が味わえるように。

 

I am neither you nor that person.

Even though it seems to be one sticking together it must be individual.

 Maybe, I'm being smart as individual, becoming nice as individual.

You should be able to shine as individual.

Then, the light reaches individual each time.

 

In order to enjoy comfort of each individual one by one.

 

individualism=individualisme

 

検定講座の案内
科学の基本的な考えを身につけ、理科検定、数学検定で評価を受けるものです。
検定講座の案内.pdf
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科学とは何か

 

 

Science is knowledge in process.

 

We make an observation,

guess an explanation for that observation,

and then make a prediction

that we can test with an experiment or other observation.

 

 

Science remains curious enough to look for

and humble enough to recognize

when we have found the next outlier, the next exception

teaches us

what we don't actually know.

 

 

The most important thing in science is

through humbly curious  communication

that we begin to try and learn new things.

 

 

 

 

 

Why curiosity is the key to science and medicine
Kevin B. Jones
Posted Dec 2016
Rated Informative, Inspiring
KEVIN B. JONES, MD
HUNTSMAN CANCER INSTITUTE OF UTAH:Health University of Utah
Subtitles and Transcript about 17minutes
PDFファイル 65.2 KB

TED ケビン・ジョーンズ: 好奇心が科学と医学の鍵となる理由

 

KEVIN B. JONES, MD

HUNTSMAN CANCER INSTITUTE OF UTAH:Health University of Utah

 

 サイエンス、この言葉を聞くと皆さんの多くにつまらない退屈な記憶が蘇るでしょう 高校時代の生物や物理の授業の思い出ですでも私に言わせれば 高校時代の授業は サイエンスとはほとんど無関係でした それはサイエンスの「何」でした 他の人が発見したものの歴史でした 科学者としての私が最も興味を持つのは サイエンスは「いかに」進展するかです 何故なら サイエンスはプロセスに関する認識だからです 私たちは観察を行い 観察から 観察結果に対する推定して解釈し そこから 実験や観察で実証可能な 予測を立てます

 

 いくつか例を挙げましょう 人類がまず気づいたことは 地球が下にあり 天空が上にあって 太陽も月も 自分たちの周囲を 回っているように見えることでした 当時の人類が推定した解釈は 地球は宇宙の中心にあるはずだということでした予測は「全ては 地球の周りを 周っているはずだ」というものでしたこの予測が初めて実際に試されたのは ガリレオが 初の天体望遠鏡を手に 夜空を覗き込んだときでしたガリレオが発見したのは木星という惑星とその周りを回る 4つの衛星でした ガリレオはこの4つの衛星を使って木星の軌道を追跡し、木星もまた、地球の周りを周っているのではなく太陽の周りを周っていることに気づきました予測が反証された訳ですこれにより 「地球が宇宙の中心にある」という理論が 棄却されました

 

 もう1つの例「ニュートン卿は物が落下する先は 地球だと気づいた」 推定された解釈は引力であり、「万物は 地球に向かって落下する」 と予測されました でも当然ながら 全てが地上に 落下するわけではありませんでは、引力の理論は却下されたか? そうではなく理論が見直されて引力が物を地球に向けて引っ張るのは 「同じ大きさで反対向きの力が 働いていないとき」と表現されました ここから 私たちは 新しいことを学びました 私たちは 鳥とその翼に注意を向け始めこのような考え方から様々な発見が 生まれたことを考えてみてください 推論が反証され、例外や特異な事象から何を知らなかったかがわかり、新たな発見につながりますこのようにして サイエンスは 前進し新たなことを学ぶのです

 

 メディアが時として使う表現であり、さらに稀とはいえ、ときに科学者も使う表現に、何かが「科学的に証明された」という言い方があります。ご理解いただけると思いますが、サイエンスが何かを断定的に証明し、それが永遠ということはありません。願わくば、科学が次の特異例を探し求める好奇心を持ち続け、私たちが次の特異な症例を見つけたときに、次の例外を見つけたときに、それに気づく好奇心を忘れず、それに気づく謙虚さを忘れず、ちょうど 木星の月の発見の時のように、そこから未知なるものを学んでいきたいものです。

 

 

 ではここで ちょっとの間ギアを入れ替えましょう 医学のシンボルである「カドゥケウスの杖」は 様々な人にとって多くの様々な意味がありますが医学に関する一般の議論では技術的問題へとすげ替えられます議会や 保険会社の重役会議で 議論されるのは医療費の支払い方法です倫理学者や疫学者は医療を配分する最善策に 知恵をしぼり病院や医師たちがすっかり心を奪われているのは手順書やチェックリストを使って 安全に医療を提供するための 最善策です 以上述べたのは全て良いことです でも彼らは皆 ある程度のレベルにおいて 医学の教科書は完成品だという前提があります医学の教科書は完成品だという前提があります医療の質を測るとき私たちはまず、医療を受けられるまでの時間を 物差しにしますこれは驚くにあたりません今の風潮では医療を提供する施設はオートバックス並みの迅速対応を 重視することから始めるからです

 

 医学部を卒業したての時私にとって唯一の問題は自動車整備士が持っていて 車のプラグに差し込めば 何が問題か正確に割り出せるようなそういう小洒落た装置を持っていなかったこと― その理由は 医学の教科書の内容は 未完だからです医学はサイエンスです医学はプロセスに関する認識です 観察して その観察の解釈を推定し実証可能な 予測を立てるのです 医学における予測のほとんどは その検証の対象が 人間の集団です 退屈な生物の授業を 思い起こせば 集団の特性は平均の周りに ガウス曲線 すなわち 正規分布を描くものです従って 医学では 推定した解釈に基づいて 予測をした後で ヒトの集団を使って 検証します その意味は 医学において私たちの知り得た― 知識や専門技術は 集団に基づいて得られたものでありその適用が許されるのは、次の特異な症例や例外が見つかって私たちが実は知らない存在 ― 木星の月のこと を知るまでの間だ ということです

 

 

 さて私は外科医として 肉腫の患者の 治療にあたっています肉腫は悪性腫瘍のごくまれなケースです 筋肉や骨にできるがん[悪性腫瘍]ですこれらの患者さんは全員 特異な事例であり 例外的な症例であると言えます私が 肉腫患者に対して行った 外科手術はどれを取っても医学において最も信頼性が高いとされる集団に基づく根拠であるところのランダム化比較臨床試験に基づいたものではありません既存の枠組みを超えて考えろと言う人はいますが肉腫に関して 既存の枠組みなんてありません肉腫に関連して 不確実性、未知、例外 特異な症例にどっぷりと浸かるとき あらゆる科学にとって 私が最も大切と考える 2つの価値を容易に手にするのですすなわち謙虚さと好奇心です私が謙虚かつ好奇心旺盛であれば 患者さんの質問を受けて私が答えを知らない場合私は同僚に尋ねるでしょうその同僚は よく似た別の症例を 知っているかもしれませんからまた国際的な協力体制を組み立てるでしょう患者同士は チャットルームや 支援団体を通じて 対話を始めるでしょうこの種の 謙虚な好奇心のある コミュニケーションを通じてこそ私たちは 新たなことを 試したり 学んだりするのです

 

 私の患者の1人を例にとりましょう。その人は膝のあたりに悪性腫瘍がありました 謙虚な好奇心による コミュニケーションを国際的な協力のもとに交わしたおかげで、がん[肉腫]に侵された膝の除去を 行わねばならなくなったとき、かかとに膝の役割を与えられることを学びました。これで義肢を装着すれば、患者が 走行、跳躍、遊戯できるのです。このような治療の機会を得られたのは、国際的な協力によるものです。患者がそれを望ましいと感じたのは、同じ治療を経験した他の患者と、自ら連絡を取ったからです。従って、医学における 例外や特異な症例は、私たちが知らないことを気づかせてくれ、新しい考え方へと導いてくれるのです。

 

 さて非常に重要なことですが医療において特異な症例や例外から、私たちが導かれる新たな考え方は全て、特異例や例外に 適用されるだけにとどまりません私たちが 肉腫の患者から 学ぶのは肉腫患者の管理法だけではありません時として、特異な症例や例外は、私たちに一般的な集団にとって、大切なことを教えてくれます 森の外に単独で生える木のように特異な症例や例外は私たちの注意を惹き 木とは何かといったような、より大きな理解へと私たちを導きます私たちはよく 「木を見て森を見ず」 という議論をしますが、森の中で1本の木を見失うこともあるのですしかし 一本だけ目立って生えている木は、木を定義するこれらの関係すなわち 木の幹、根、枝の間に生じる関係をより明瞭にします たとえその木の幹が曲がっていてもまたたとえその木が 幹、根、枝の間にごく非凡な関係を持っていたとしてもそれにも関わらず その木は 私たちの注意を惹きますし私たちは観察することが出来ますそれから一般的な集団で検証できるのです

 

 私は肉腫を稀だと申し上げました全ての悪性腫瘍の約1%です皆さんもおそらくご存知でしょうががん[悪性腫瘍]は遺伝性疾患とされています 遺伝性疾患という言葉で私たちが意味するのはがん遺伝子が、がん細胞中で活性化したり、がん抑制遺伝子が不活化すると、がんになるということですみなさんは私たちががん遺伝子や がん抑制遺伝子について学んだのは一般的ながん ― 乳がんや前立腺がんや 肺がんからだと思われるかもしれませんがそれは違います私たちががん遺伝子や がん抑制遺伝子について学んだのは最初は 肉腫と呼ばれるわずか1%の がん[悪性腫瘍]からなのです1966ペイトン・ラウス博士は、ノーベル賞を受賞 ― 受賞は、ニワトリが伝染性の肉腫を持つことを発見した功績を讃えてのことでした30年後ハロルド・ヴァーマスとマイケル・ビショップが伝染性の要素の正体を究明しました 遺伝子を持つウィルスでした遺伝子を持つウィルスでしたsrcというがん遺伝子ですsrcをがん遺伝子の中で最も重要だと申し上げるつもりはありませんすべてのがんの中でsrcが 最も頻繁に活性化する がん遺伝子であると言うつもりもありませんsrcは初めて発見された がん遺伝子でしたこの例外であり 特異な事象であるsrcが 私たちの注意をひきそれがきっかけとなって 私たちは その後の生物学における 重要な事柄を知るに至りました

 

 さてTP53は もっとも重要な がん抑制遺伝子ですTP53はがん抑制遺伝子の中でもっとも高頻度に不活化されるものでほぼ全種類のがんで認められていますでも私たちがそれを学んだのは一般的ながんからではありません私たちが学んだのは リーとフラウメニがいくつかの家族を診ていてこれらの家族が異常に高い頻度で 肉腫を発症することに気づきました肉腫は珍しいと申し上げました百万人に1人しか診断されない肉腫が 1つの家族で2人診断されればその家族での発症が あまりに高頻度だということです肉腫が珍しいという事実こそが 私たちの注意を惹き新しい考えに導くのです

 

 さてみなさんの多くはこう言われるかもしれませんがもっともなことです「そうだ ケビン 確かにすごいよ。でも 鳥の翼の話じゃないだろう」と。「木星とかいう惑星の周りに浮かぶ 衛星の話をしているんじゃないだろう」と。 「これは人間だろう。この特異な症例や例外は、科学の進歩につながるかもしれない。でも これは人間だろう」と。そして、私に言えることはただ一つ、私はそのことを重々承知しているということ。私は、この稀で命に関わる疾患を持つ患者さんたちと対話をしてきました。その対話について執筆をしています。この対話は、ひどく困難に満ちています。対話は ひどい言葉で満ちています。例えば「悪い知らせがあるんだ」とか、「手の施しようがありません」とか、時として、これらの対話は 次の一言に結びつきます。「終末期」と。無言は居心地の悪いこともあります。 医学における無言の箇所は これらの対話で私たちが使うことばと 同じくらい重要になり得るのです 未知のものは何か? 今行われている実験は何か?

 

 ちょっと実演してみましょう 画面でこのフレーズをご覧ください。「no where (どこにもない)」です。スペースの位置に注意してください。「no where (どこにもない)」の スペースの位置を1つずらしてみましょう。「now here (ここにある)」と。真逆の意味になりますスペースを1つずらしただけでです

 

 忘れもしないあの夜私はある患者さんの 病室に入りましたその日私は長い間手術を行いましたがそれでもその患者さんを 診たいと思いました患者さんは男の子で 2、3日前に骨肉腫と診断されました彼は、お母さんと一緒に化学療法の医師の診察を、その日の早い時刻に受けていました男の子は 化学療法を始めるために入院していました真夜中近くに、私がその子の病室に着いた時 その子は眠っていましたが私は、お母さんがその子のベッドのわきで懐中電灯で何かを読んでいるのに気付きましたお母さんは廊下に出て 私と数分話をしましたそこで分かったことですが お母さんが読んでいたのはその日 化学療法の医師から渡された 治療の手順書でした母親はそれを暗記していましたそして言いました 「ジョーンズ先生、言いましたよね。このタイプのがんは、必ず治るとは限らないとこのタイプのがんは、必ず治るとは限らないとでも私はこの治療の手順書を学んでやれそうな気がしますとても難しい治療法ですがその通りにやれそうな気がします私は仕事を辞めて両親と同居し私の子どもの命を救おうと思います」と私は彼女に言いませんでした 話をさえぎって、彼女の考えを正すことはしませんでしたその空白をどこかに移動すべきでした。問題は、彼女がこの非常に難しい手順書に従うことができるかどうかではありませんでした。彼女は 治療の手順書を信頼していましたが手順を全て守ったとしても 息子さんの命を救えるとは限りませんでしたでも私は言いませんでした私は書かれていない余白を埋めませんでしたでも1年と半年が過ぎたとき彼女の息子さんは、治療の甲斐なく癌で亡くなりました。私は、母親に告げるべきだったのでしょうか?

 

 さてみなさんの多くは言うかもしれません。「だからどうなの? 私は肉腫ではないし、私には肉腫の家族もいません。それで万事がうまく行き、多分、私の家族には関係ありません」とごもっともかもしれません肉腫はみなさんの人生に関係ないかもしれませんしかしながら、医学で書かれていない部分はみなさんの人生に重要です

 

 みなさんに言わなかった後ろめたい秘密があります 医学では 集団を対象に予想をたてて それを検証すると申し上げましたでも 私が言っていないことがありますまた、医学がしばしば みなさんに言わないことがありますつまり人が医学と出会う度につまり、人が医学と出会う度にその人が確かに母集団の中に 収まっていることはわかっても本人にも医師にも分からないのは、その人が、集団のどの部分に属しているか、ということです従って、医学と遭遇する機会の1つ1つが 実験です。患者になることは、被験者になるということです良い結果もあれば良くない結果も出ます治療がうまく行けば私たちは 順調に素早く措置をし大威張りで自信たっぷりに話します。で事態がうまくいかないとき時として違うことが必要になります

 

 一人の同僚がある患者の足から 一個の腫瘍を切除しました彼はこの腫瘍について懸念がありましたこの腫瘍が、高リスクで同じ部位に再発するタイプの 腫瘍ではないか、と言いましたでも彼は患者との会話では患者さんが望みそうなことを、ずばり自信たっぷりに話しました 「腫瘍は全て取り除きましたので、順調ですよ」と 患者とその夫は非常に喜びました夫婦で出かけ、お祝いのディナーでシャンパンのボトルを開けました 唯一の問題は、2~3週間後に、その患者が 同じ箇所にある、新たな結節に気づき始めたことでした腫瘍は取り残しがあり全治しなかったことが分かりましたでも、その段階で起こったことに、私は非常に注目させられましたその同僚は 私のところに来て、こう言ったのです「ケビン、私に代わってこの患者を診てくれないか?」と「どうして?君は私と同じくらい 何をすべきか分かっていて、君は間違った治療はしていないのに」と私 すると同僚は「頼むから この患者を、私の代わりに診て欲しい」彼は、ばつが悪かったのです 治療の内容ではなく、患者と交わした 自信過剰な会話のせいでした

 

 そこで私は、より侵襲的な外科手術を行いその後その患者と全く違った内容の会話をしました「おそらく腫瘍は全て取り除いたので、おそらく順調だと思いますが私たちの治療は実験でもありますここを自分で注意して見て行ってくださいここを私も注意して見ていきますそして、今回の手術が がん[肉腫]の除去に有効だったかどうか一緒に観察して行きましょう」と 受け合ってもいいですが 私と話した後この患者がご主人とシャンパンで祝杯を あげることはなかったでしょうでも、この患者はそのとき 一人の科学者となりました単なる被験者ではありません

 

 ですのでみなさんぜひ 自分がかかる医師の中に 謙虚さと好奇心を求めてみてください 毎年 200億回人が医師の元を訪ねその人が患者になりますあなたもしくはあなたの大切な誰かが、間もなくその患者になるでしょう医師に どう話しますか? 医師に 何を話しますか? 医師はあなたに 何を話すでしょうか? 医師は自分の知らないことを話すことはできません医師は質問されたことを知らないときに知らないと答えるでしょう尋ねさえすればねなので、対話に参加してください

 

ありがとうございました