〈 科学的とはどういうことか 〉

 

近代科学の背景に流れる社会の変遷に視る、これがテーマです。

 

Universal Acadæmia

 

of

 

Art & Science

 

 

 

∞ 近代科学のきっかけとは何か ∞

 

 私たちが、さまざまな学問をうけとったのはイタリアからであり、それらは以後ヨーロッパ全体であれほど豊かに実を結んでいる。しかし、私たちがとりわけイタリアにおかげをうけているのは、さまざまな芸術とすぐれた美意識とであり、イタリアは真似のできないその手本を数多く私たちに提供してくれたのである。
 芸術と文学とがすでに尊敬されていたのにひきかえ、哲学は、少なくとも各国民を全体としてながめた場合、同じ進歩をしているどころではなかった。哲学が再び姿を現すことができたのはひどくおくれてからなのであった。実際は、文学に秀でる方が、哲学にそうであるよりもたやすいというわけではない。どんな分野でも、卓越することは同じように達しがたいものである。
 しかし、古代人たちの書物を読むことは、当然、自然科学の進歩に寄与するよりも早く文学とすぐれた美意識との進歩に寄与したはずである。文学的な美しさは、感じとられるのにながく見られる必要はなかった。
そして、
 人々は考えるより前に感じとるものであるから、当然同じ理由で、自分が考えるものを評価する前に、自分が感じとるものを評価するはずである。その上、古代人たちは、作家としてほどには、まだまだ哲学者としては完全ではなかった。実際、たとい私たちの観念の順序において理性の最初の働きが想像力の最初の努力に先行するとしても、後者は、それが第一歩をはじめてからは、前者よりもずっと早く進むものである。


ダランベール『百科全書-序編』より

 

 

 

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( こちらからどうぞ )

 

 

ディドロ、ダランベール編 『アンシクロペディ乃至は技術と科学についての総合的な書巻』( Encyclopédie oudictionnaire universel des arts et des sciences )(1751-1772)

エフレム・チェンバース編 『サイクロペディア乃至は芸術および科学の総合的な事典』(Cyclopaedia, or An Universal Dictionary of Arts and Sciences)(1728) ※この表紙絵は、「世界で初めての百科事典」として紹介するため〈Art&Science〉のテーマ図柄として拝借させていただいています。